阿波弁の一覧!意味や例文・使い方も解説

「このお菓子、あるでないで〜!」
旅先の市場で、店員さんが笑顔で声をかけてくれたけれど…「えっ、あるの?ないの?どっち?」と一瞬フリーズしてしまったあなた。徳島に来てから、聞き慣れない言葉に戸惑うこと、ありませんか?
阿波弁には、そんな“ふしぎでおもしろい”言い回しがたくさんあるんです。この記事では、「あるでないで」ってどういう意味?から始まり、日常でよく使う阿波弁の一覧や使い方、かわいい語尾のニュアンスまで、徳島県出身の筆者がやさしく解説します。
徳島の人との会話が、もっと楽しく、あったかく感じられるようになりますよ。

阿波弁の一覧!徳島県徳島市出身の筆者がご紹介
あ行
あるでないで
訳:あるじゃないですか
例文:「これ、ええ感じやな〜あるでないで!」
地元の人がうれしそうに使うこの言葉、「あるじゃないか〜」という共感やツッコミのニュアンスで使われます。ちょっとテンション高めの場面でよく登場しますよ。
あんでぇー
訳: あるじゃないか
例文:「えっ、もうお茶切れた思とったけど、ポットの奥にあんでぇー!」
見落としてたものを見つけたときの、ちょっとした喜びや驚きを含んだ言葉。子どもと一緒に探し物をしているときにも、こんなふうに使われたりします。
あっこ
訳: あそこ
例文:「この前できたカフェ、あっこの橋んとこにあるらしいで〜」
地元の人同士の会話で、「あそこ」を指すときによく使う言葉です。なんとなく方向を指しながら「あっこな〜」と会話する姿は、徳島らしいのんびりした空気感も感じられます。
あほいきに
訳: 何も考えず無理に行う様
例文:「あほいきに車で山ん上まで行こう思たら、雪で立ち往生してしもたわ〜」
深く考えず勢いで動いたときに、「無茶したなぁ」という笑いを含んだツッコミとして使う表現。軽い後悔や反省を込めるときにぴったりです。
あんにゃ
訳:兄
例文:「うちのあんにゃが〜言うとったんよ」
兄のことを親しみをこめて「あんにゃ」と呼びます。姉妹が兄の話をするときに使ったり、お母さん世代にもおなじみの言葉です。
あずる
訳:てこずる
例文:「子どもがグズってあずれてな〜」
思いどおりにいかなくて手こずる、時間がかかる、という場面で使われます。
特に子育て中のママ同士の会話でよく登場する阿波弁です。
いがる
訳: 大声を出す
例文:「さっき、子どもがいがっとったけんな〜」
「泣き叫ぶ」「怒鳴る」といった騒がしい声を出すときの表現です。驚いたり、困ったりする場面でよく使われます。
行っきょん
訳: 行くんですか?/行ってるところです
例文:「あれ、おまはんどこ行っきょん?」「今な、四季美谷温泉に行っきょんよ〜」
会話の中でよく使われる、柔らかい語感の進行形。語尾を上げると「どこ行くの?」、下げると「行ってるところだよ」という感じに使い分けできますよ。
行きしな(帰りしな)
訳: 行く途中(帰る途中)
例文:「日和佐の帰りしなにな、伊座利のカフェでアワビカレー食べてきたんよ〜」
阿波弁らしい言い回しのひとつ。「〜しな」だけで「途中」を表せるのは便利ですね。観光中の寄り道にもぴったりの表現です。
行けん
訳: 行けない
例文:「冬に剣山の山頂まで行けるん?」「チェーンもアイゼンも無かったら行けんで〜」
日常会話の中でも使いやすい「否定の動詞」。阿波弁らしく、語尾がやわらかくなるので、ちょっとした注意喚起にもぴったりです。
いぬ
訳: 帰る
例文:「ほな、そろそろいぬわ〜」
「帰る」という意味の定番阿波弁。最初は「犬?」と間違えられがちですが、日常会話で超頻出の表現です。
いんで
訳: 帰って
例文:「もう、いんでよ〜」
「いぬ(帰る)」の命令形や依頼形にあたる言い方。子どもに「もう帰っておいで」と言うようなやさしい場面で使われます。
いんでくる
訳: 帰る
例文:「台風きよるけんな、そろそろいんでくるわな」
「帰ってくる」ではなく、「帰るという動作そのもの」を表す阿波弁。阿南や那賀などの山間部でもよく使われる言い回しです。
いんでまう
訳: 壊れてしまう
例文①:「そんなに雑に扱ったら、いんでまうで〜」
例文②:「さっき落としてしもていんでもたわ〜」
「壊れる」「だめになる」という意味ですが、やさしい語感の表現なので、深刻な場面でも柔らかく伝えられます。

さっきご紹介した「いんでくる」と「いんでまう」がややこしいですね。
いんまに
訳: そのうち
例文:「いんまに行くけんな〜」
「そのうちに」「今度ね」というような、ゆるく時間を表す表現。急かされずに自然体で使えるのが阿波弁らしいですね。
いけるで?/いけるん?
訳: 大丈夫?
例文:「血ぃ出よるけど、ほんまにいけるん?」
ケガをした人や、ちょっと無理してる相手にやさしく声をかける時の一言。「無理せんでええよ」という気遣いも込められています。
いっこも
訳: 全然・まったく
例文:「このたこ焼き、タコがいっこも入っとらんやんか〜!」
「ひとつも」「少しもない」という不満や驚きを伝えるときによく使います。冗談っぽく文句を言いたいときにぴったりの表現です。
いらう
訳: 触る
例文:「その傷、いらわん方がええで。余計に痛むけんな」
関西弁でも聞き慣れた表現。「触らんといて」ではなく、「いらうなよ」と言われると、ちょっと懐かしく感じる人もいるかもしれませんね。
いらんで?
訳: いりませんか?
例文:「この赤土、いらんで?」「うん、もうじゅうぶんあるわ〜」
不要かどうかを確認するときに自然に使える一言。「で?」の語尾がやわらかく、押し付けがましくない印象を与えます。
うち
訳: 私(一人称)※主に女性が使用
例文:「うち、ほんまに鳴門の渦潮初めて見たんよ〜!」
徳島では女性が自分のことを指すときに「うち」をよく使います。関西圏と共通する部分もありますが、地元の空気感がふわっと伝わるこの言葉は、親しみやすさややわらかさを感じさせてくれます。
うちんく
訳: 私の家
例文:「今度、うちんく遊びに来てな〜」
「うち(私)」+「〜んく(家)」の合成語。親しみがあり、気軽なお誘いにぴったりの表現です。
うっとい
訳: うっとうしい
例文:「この湿気、ほんまにうっといなぁ〜梅雨はかなわんで」
蒸し暑さや、面倒な状況に対して感じるイライラやもどかしさを表すときにぴったり。徳島では感情をサラッと吐き出すときにこの「うっとい」がよく登場します。
えっと
訳: 長い間
例文:「えっと並んどるなぁ」、「えっとことおらんかったけど、どしたん?」
「たくさん」「長時間」などを意味します。時間や量の多さを表すときに便利な阿波弁です。
えっとぶり
訳: 久しぶり
例文:「えっとぶりに阿波おどり見に行ったけど、やっぱりすごい熱気やったなぁ〜」
「えっと」は阿波弁で「長い間」という意味。それに「ぶり」がついて、「久しぶりに」という自然な会話表現になります。友達との再会や、思い出の場所に行ったときなど、懐かしい気持ちを込めて使える言葉です。
おまはん
訳: あなた
例文:「おまはん、どこから来なったん?」
丁寧な表現で、年配の方がよそから来た人に親しみを込めて話しかけるときに使われます。
おかっこまり
訳: 正座
例文:「おかっこまりして食べなさい」
子どもに言うことの多い、昔ながらの言い回し。今ではレア度が高めの阿波弁です。
お腹が“おきる”
訳: 一杯になる
例文:「もうお腹おきたわ〜」
「お腹いっぱい」という意味のかわいらしい言い方。地元ではお年寄りから子どもまで使う場面があります。
おもっしょい
訳: おもしろい
例文:「あの人、おもっしょいわ〜」
「面白い」「ユニークだ」と言いたいときのフレーズ。ほがらかな会話にぴったりな、阿波弁らしい響きです。
おとろしい
訳: 恐ろしい、怖い
例文:「昨日の雷、ほんまおとろしかったなぁ〜窓ガラス揺れてたで」
「おとろしい」は、ぞっとするような怖さ・不安感を表すときに使われる阿波弁です。
自然災害や事件の話題だけでなく、「あの話ほんまおとろしで〜」と、ちょっとした衝撃体験にも使える便利な言葉。
四国全体や近畿南部でも通じることが多いので、地元の人との共感にも役立つフレーズです。
おるけー(おるでー)
訳: (誰か)いる?/ご在宅ですか?
例文:「こんにちは〜、〇〇さんおるけー?宅配便で来とんよ〜」
この「おるけー?」は、玄関前や通りがかりで声をかけるときの定番。ご近所や親戚、知り合いとの距離が近い地域ならではの文化です。
とくに年配の方は、「おるけー?」と言いながらドアをノックせずに戸を開けることも。
それだけ信頼されている証拠かもしれませんね。移住者の方はびっくりするかもしれませんが、阿波のあったかさの現れです。
おみぃーさん
訳: 雑炊
例文:「夜はおみぃーさんにしよか〜」
家庭で作られるあたたかい雑炊の呼び方。阿波弁ならではの、やさしい響きが印象的です。
か行
かんまんで?
訳: かまわないですか?
例文:「この席、先使てええ? かんまんで?」
丁寧だけどフランクな確認の一言。「いいですか?」をやわらかく言いたいときにぴったり。観光先の食堂やイベント会場でも自然に使えますよ。
蚊にかまれる
訳: 蚊に刺される
例文:「昨日の夜、腕ばっかり蚊にかまれて、かゆてかゆて寝れんかったわ〜」
標準語では「蚊は刺すもの」ですが、徳島では「かむ(噛む)」で表現されます。
昔からの言い回しなので、お年寄りだけでなく子どもも普通に使います。
虫刺されの話題が出たら、「どこかまれたん?」って聞いてみると、ちょっと地元っぽく聞こえるかもしれませんね!
がいな
訳: すごい、強い、大きい
例文:「がいな渦巻いとるなぁ〜さすが鳴門の渦潮やなぁ!」
「すごい!」を伝えたいときの万能ワード。渦潮・花火・台風など、自然の力強さにもぴったりハマります。
~かいな
訳: ~なの?(確認・疑問・驚き)
例文:「今日もまた来とったんかいな〜!」
この「〜かいな?」は、ちょっと驚いたり、意外に思ったりしたときの疑問形。
「ほんまかいな?」「行くんかいな?」「そんなこと言うたんかいな〜」のように、関西弁にも近いニュアンスで、やわらかく、親しみのある問いかけです。
徳島でも年配の方を中心に日常会話でよく使われ、「詰問」じゃなく「共感・軽い驚き」として使えるのが特徴です。移住してきた方がこの語尾を覚えると、ぐっと距離が縮まるかもしれませんね。
かいらし
訳: かわいらしい
例文:「あの子、阿波おどりの衣装よう似合っとるな〜ほんまかいらしなぁ」
人にも物にも使える「かわいい」の方言。やさしく褒めたいときにサラッと使うと、地元っぽさもアップします。
かいて
訳: 運んで、担いで
例文:「ごっつい荷物やな〜ちょっとだけかいとってくれん?」
引越しやイベント準備のときに登場しやすい動詞。「担ぐ」より軽く、「持つ」より阿波っぽい、絶妙なローカル感が魅力。
きー。きーだ
訳: 来なよ、おいでよ
例文:「今、鳴門の渦潮めっちゃええ感じなんよ〜!カメラ持ってきー!」
「きー(きーだ)」は、相手をやさしく誘うときの一言。阿波弁らしいテンポ感と距離の近さがあって、友達や家族に「見てほしい!来てほしい!」という気持ちを込めて使われます。

言い方次第ではちょっと命令口調にも聞こえるけど、地元では親しみのある呼びかけとして自然に使われますよ。
きにょう
訳: 昨日
例文:「きにょう、三嶺(さんれい)まで登っとったんよ。ちょっと霧がすごかったわ〜」
「きにょう」は、阿波弁の中でもかなり自然に日常会話で使われている言葉です。
「昨日」をあらわすんですが、やわらかい響きで、どこか懐かしさや温かさがあるのが魅力。
移住者の方もこの言葉を耳にしたら、「あ、地元っぽいな〜」と感じる瞬間になるかもしれませんね。
けんど
訳: けれど/でも
例文:「お天気ええけんど、山の上は風強いかもしれんで〜」
逆接の接続詞。「でも」「だけど」と同じ感覚で使えます。県南・山間部では特によく耳にするフレーズです。
こまい/こんまい
訳: 小さい
例文:「こんまい子がおどる阿波おどり、ほんま見とれてまうわ」
赤ちゃんや子ども、小さな雑貨を見て言いたくなる言葉。サイズ感を表すときにぴったりの阿波弁です。
こっぱ
訳: とてつもなく/すごく
例文:「こっぱ寒いな今日!手ぇかじかんでまうわ」
「とっても」「ものすごく」に近い強調語。感情や感覚を大きく伝えたいときに使われます。
こば
訳: 角
例文:「そのこばのとこ、車止めとってな」
「道の角」「棚の角」などの場面で使います。土地勘を伝えるときに、地元のおじいちゃんがよく使ってくれる表現です。
こらえる
訳: 許す/我慢する
例文:「今回だけはこらえといたるけんど、次はあかんでよ!」
「怒らず許してあげる」の意味での“こらえる”が特徴的。ちょっと厳しそうに見えて、情がある言い方です。
ごじゃ
訳: でたらめ、めちゃくちゃ
例文:「この道案内、ごじゃやんか〜反対方向行っとったで」
事実と違ってる時や、混乱してる状況に使うツッコミ言葉。イラッとしつつも、ちょっと笑える空気があるのが阿波らしさ。

徳島の阿波踊りの有名連に「娯茶平(ごじゃへい)連」がありますよね。ごじゃへいは、徳島の方言で「でたらめな人」という意味です。
こっしゃえる
訳: 作る(こしらえる)
例文:「昼なにしょんな? ほな、ラーメンでもこっしゃえるわな〜」
「こっしゃえる」は、「作る・こしらえる」という意味の阿波弁で、特に料理をするときによく使われます。
徳島では、ごはんをごちそうする場面や、親しい人と食事の話をしているときに、自然とこの言葉が出てくるんですよ。
「手料理をさっと用意する感じ」「家にあるもんでぱぱっと作るよ〜」という温かさや気軽さがにじむ表現です。

おばあちゃんが「こっしゃえたんで、食べていきぃよ」と言ってくれると、つい甘えたくなりますね。
ごっつい
訳:とても/すごく/めちゃくちゃ
例文:
「このチャーシュー、ごっついやわらかいなぁ〜!」
「今日の運動会、ごっつい暑かったわ…」
「ごっつい」は強調の意味で使われる阿波弁です。何かの程度が“ものすごい”ときに使う便利な一言で、関西でも使われますが、徳島でも日常的に登場します。
若者から年配の方まで使う万能語で、感情を込めて話すときにぴったりです。
こんこ
訳: 沢庵(たくあん)
例文:「おにぎりに、やっぱりこんこ添えとかな落ち着かんわ」
お漬物=こんこ、という感覚が今も根強く残っています。年配の方や田舎の食卓ではよく登場する語彙です。
さ行
さし
訳: ものさし(定規)
例文:
「さし貸してくれん?ノートの線ひくんに使いたいんよ。」
「定規」のことを、阿波弁では「さし」と呼びます。
主に年配の方や学校現場などで使われてきた言い方で、「さしものさし」の略ではないかと言われています。
学校で「さし持ってきた?」と聞かれて「えっ?」となった人もいるかもしれません。
言われてみればシンプルだけど、地元の人にとっては当たり前に通じる便利な言葉です。
さどい
訳: 機転が利く、要領がいい
例文:「あの子、若いのにさどいなぁ。よう気ぃきくわ」
「さどい」は、賢くて空気を読む力がある人を表す言葉。徳島では、さりげない気配りができる人へのちょっとした尊敬のまなざしを込めて使われます。
さら
訳: 新品
例文:「ほの冷蔵庫、さらで買うたんけ?ピカピカやな〜」
「さら」は「新品」という意味で、「さらぴん(真っさら+新品)」とも言ったりします。
日常生活の中で、家電や服、車などを買い替えたときによく使われる言葉ですね。
地元の人に「それさらか?」と聞かれたら、ちょっと照れくさいけど、「新しいんやで」っていう会話のはじまりになるかもしれません。
しとる。しとれへん。しょれへん。
訳: している。していない。
例文:
「おまはん、インスタしょんけ?」
「しょーでー、ストーリーズばっかり上げよんよ〜」
「へー、わしはしょれへんのよ〜わけわからんけんのう」
「しょん」「しょー」「しょれへん」は、「〜してる?」「してるよ」「してないよ」という阿波弁の基本パターン。
SNSや趣味の話題にもよく使われ、親しみのあるフレーズとして、若い人からお年寄りまで幅広く使っています。
〜しな
訳: 〜の途中、〜のついでに(「行きしな」「帰りしな」などの形で使う)
例文:「月見ヶ丘まで送ってくれるん? ほんなら帰りしなに、ええカフェ寄ってこいしな〜」
「〜しな」は、阿波弁では「行く途中」「帰る途中」などの道すがらを表す言葉として使われます。「行きしな」「帰りしな」など、道中で何かをする・立ち寄るというニュアンスが含まれていて、日常会話でとてもよく使われます。
「しな」は元々「品(しな)」から来ていて、関西の古い言い回しにも見られますが、徳島ではいまも自然に使われている方言なんですよ。
しもって
訳: 〜しながら
例文:「電話しもってゲームするって、器用やな〜」
「しもって」は、2つの動作を同時に行うときに使う便利な阿波弁。「運転しもって電話したら危ないで〜」のように、注意喚起にもよく登場します。
ちょっと懐かしくて、のんびりした空気感を感じる言葉ですね。
しにいる
訳: あざができる(青たんになる)
例文:「転けてひざ打ったら、しにいてしもたわ〜」
「しにいる」は、内出血で青くなった状態=“青あざ”を指します。
ケガの話など日常会話でよく使われ、小さい子どもの育児中にもよく登場する語です。
しょーたれ
訳: だらしない
例文:「ほら、またシャツ出とるで〜。ほんましょーたれやなぁ」
服がよれよれだったり、部屋が散らかってたり、見た目や態度がゆるんでるときに出てくる言葉。

ちょっと口うるさいおばちゃんがよく使うイメージがあるかも?
しよい
訳: しやすい。扱いやすい。楽。
例文:「この子、気ぃもきくし、しよいけん助かるわ〜」
「しよい」は、「〜しやすい」「扱いやすい」といった意味で使われる阿波弁。
特に子どもや若い人に対して「手がかからなくてええ子やな〜」という気持ちを込めて使われることが多いんです。
たとえば、「この子はしよいわぁ」と言われたら、それはちょっとしたほめ言葉。地域のおばちゃんがニコニコしながら使っている、そんな光景が目に浮かびますよ。
~しよん?(しょん?)
訳: 〜してるの?
例文:「あれ?何しよん?そんなんしたら濡れるじょ〜」
「しよん?」は、「何してるの?」「してるん?」という、日常のちょっとした問いかけに使える阿波弁です。親しみのある語感で、子どもにもお年寄りにも、誰にでも自然に使える便利なフレーズ。
標準語の「してるの?」よりも、口あたりがやさしく、会話をやわらかくしてくれるのが特徴です。阿波弁に少しずつ慣れてきたら、まずはこの「しよん?」から取り入れてみるのもおすすめですよ!
しわしわ
訳: ゆっくり、のんびり
例文:「まだ時間あるけんな、しわしわ行きよ〜」
急がず、ゆったりとしたペースを大切にする阿波の空気感がにじむ言葉。
「焦らんでええけん、しわしわでええよ〜」なんて言われると、なんだか心が和みますね。

徳島県のダイドーの自販機でジュースを購入すると「しわしわいきよ~(ゆっくりいきよ)」って流れてます。機会が合ったらぜひ買ってみてください!
しんだい
訳: しんどい、疲れた
例文:「朝から草引きしよったけん、もうしんだいわ〜」
身体が重い・だるいときに使う表現で、年配の方が特によく使う印象。
「疲れた」よりももう少し深くどっと疲れてる感じが出ます。
じゃらじゃらする
訳: ふざける、調子に乗ってふるまう
例文:「こどもら、スーパーでじゃらじゃらしよったけん、叱ってしもたわ〜」
「じゃらじゃらする」は、子どもや若者がふざけて落ち着かない様子を表す阿波弁です。
ちょっと調子に乗って騒いだり、悪ふざけをしてるときなんかに、「こら、じゃらじゃらせんの!」って言われます。
標準語だと「ふざける」「ちゃらちゃらする」が近いですが、阿波弁ではもうちょっと身近でやさしいニュアンスも感じられます。親が子に言うときも、ちょっと笑いながら言っていたりして、暮らしの中の愛情あるひと言としてよく登場しますよ。
〜じょ
訳: 〜ですよ(断定・強調・親しみの語尾)
例文:「ほんまに暑いなぁ、今日は35度あるんじょ!」
「〜じょ」は、阿波弁らしさ満点の語尾で、会話の最後にちょこんとつけるだけでグッと地元感がアップします。「〜ですよ」「〜だよ」に近い意味で、断定的だけどやわらかく親しみのある響きが特徴です。
ちなみに、年齢問わず幅広く使われており、やさしい印象の方言として人気があります!
せこい
訳: しんどい、つらい
例文:「暑いのと草引きで、ほんま今日はせこいわ〜」
「ケチ」という意味の「せこい」とは違い、阿波弁では「体がしんどい」「調子が悪い」状態を表します。
暑さや疲れがたまった日、よく聞こえてくるかも?
せえへん
訳: しない
例文:「あんなん、うちには関係ないけん、せえへんよ〜」
「せえへん」は、関西弁っぽい響きですが、阿波弁でもふつうに日常会話に登場します。
軽く言い切る感じで、あえてやらない・やる気がないという意志表明として使われることが多いです。
せなんだ
訳: しなかった
例文:「宿題、せなんだったん? そりゃ先生怒るわな〜」
「せなんだ」は、「しなかった」の意味で、過去の行動に対するちょっとした驚きや叱り、共感の気持ちをこめて使われます。標準語では「やらなかった」と一言で済みますが、阿波弁では少しやわらかく、人情味のある響きになりますよ。
せられんでよ
訳: しちゃダメだよ
例文:「それ勝手に開けたらアカンで、せられんでよ〜」
「せられん」は「してはいけない・してはならない」のニュアンス。
そこに「でよ(〜だよ)」がついて、注意や禁止をやわらかく伝える阿波弁特有のやさしい警告表現になります。
親が子どもに言うときや、ご近所同士の会話でもよく聞かれる言い回しです。
せんない
訳: 仕方がない
例文:「えらい雨やけど、せんないな〜。今日は引き返そか」
「どうしようもない」「やむを得ない」という意味。
穏やかに受け入れるニュアンスがあって、あきらめの中にも優しさがにじみます。
そらいかん
訳: それはいけませんね(まずい、よくない)
例文:「免許忘れてきた? そらいかんわ〜」
驚きや心配の気持ちを込めて使われる表現。
「それは困った!」というときに自然と出てくる言い回しです。
そーなっとん?
訳: そうなってるんですか?(マジで?)
例文:「Aさん辞めたん知っとる?」「えー、そーなっとん?知らなんだわ〜」
驚きやちょっとしたショックを含んだリアクション。徳島人らしい、共感型リアクションの一つです。
た行
たいそい
訳: 大儀(面倒・しんどい)
例文:「掃除機かけるん、たいそてしゃーないわ〜」
「たいそい」は、面倒くさい・しんどい・だるいというニュアンス。
家事や用事など、ちょっと気が進まないときによく使われます。地元のお年寄りが「ほれ、たいそいけん明日にするわ〜」なんて言ってるのを聞くと、ほっこりします。
たった・たってまう
訳: 飽きた・飽きてしまう
例文:「同じもんばっかり食べよったら、たってまうでなぁ〜」
「たった」は、「飽きた」「もうええわ」的な使い方。
食べ物やテレビ番組、繰り返しの行動に対して、もううんざり・お腹いっぱいという気持ちを表します。関西弁の「飽きたわ〜」に近いですが、阿波弁らしいちょっとかわいい響きです。
たる
訳: 満杯・いっぱい
例文:「ご飯たるほど食べたけん、もう動けんわ〜」
「たる」は、お腹がいっぱい・物が満タンの状態を表す言葉。人だけでなく、「バケツに水たるほど入っとる」といった使い方もできます。「たるけん、ちょっと休もか〜」なんて言えば、徳島っぽい会話の完成です。
たっすい
訳: くだらない・味が薄い
例文:「この味噌汁、たっすない? なんや水くさいで〜」
「たっすい」は、味や内容が薄っぺらい・物足りないという意味。食べ物に対して使うと「味がぼんやりしてる」感じですね。
人や話の内容に使うと、「中身がない・たいしたことない」的なちょっと辛口な表現になります。
ちっと
訳: ちょっと・少し
例文:「ちっと待ちんよ〜、今準備しよるけん」
「ちっと」は、ほんの少しだけ・ちょっとの意味。会話の中で「ちょっと時間くれる?」や「ちょっとそこどいて〜」といった感じで頻繁に登場します。日常会話でとっても使いやすい阿波弁ですよ。
ちゃう
訳: 違う
例文:「それちゃうで、こっちの道行かなイカンのよ」
「ちゃう」は関西でもおなじみの言い方ですが、阿波でもふつうに使われています。
否定や訂正のときに登場し、「いや、それは違うよ〜」という場面でよく聞きます。
気軽なトーンで使えるのがポイントです。
つまえる
訳: 片づける・しまう
例文:「洗濯もん乾いたけん、はよつまえて〜」
「つまえる」は、物を仕舞う・整理するという意味の便利な動詞。家の中でも外でも、「終わったらつまえといてな〜」とサラッと使います。
日常でよく耳にする阿波弁といっても過言ではありません。
つべくそいわれん
訳: あれこれ文句を言われる、小言を言われる
例文:「宿題やっとかんと、母ちゃんにまたつべくそいわれるけんな〜」
「つべくそいわれん」は、ぐちぐちと文句や小言を言われることを指す阿波弁。
語感の強さとは裏腹に、どこかユーモラスな響きがあり、家庭の会話や友人同士のやりとりでよく使われます。言われた側の「うんざり感」を表現するのにピッタリの一言です。
つむ
訳:(人や荷物を)車に乗せる/積む
例文:「ほな、ばあちゃんつんで病院まで行ってくるわな〜」
「つむ」は、阿波弁で車に人や荷物を“乗せる・積む”という意味で使われます。単に“乗る”というよりも、自分が運転する車に誰かを乗せて運ぶという行動を表します。
家族を病院に連れて行く時や、買い物に連れて行く時など、日常の生活シーンでとてもよく使われる言葉です。
ちなみに荷物を乗せるときも「野菜つんでJAまで行ってくる」なんて言ったりしますよ〜。
どちらいか
訳: こちらこそ
例文:「今日はほんまにありがとうな〜」「いやいや、どちらいか〜!」
「どちらいか」は、感謝を返すときの定番フレーズ。
「こちらこそ」「いえいえ、とんでもない」のニュアンスで、人との距離を縮めてくれる魔法の言葉です。お店やご近所とのやりとりでも、自然に使えるようになると一歩地元っ子に近づけますよ。
どくれる
訳: すねる
例文:「ちょっと注意したら、すぐどくれるけんな〜うちの子」
「どくれる」は、子どもや若者がふてくされる様子を指します。
「拗ねる」「へそを曲げる」といった意味で、可愛らしさもありつつ、ちょっと困った感じも。
家庭の会話ではわりとよく登場する表現です。
とっしょり
訳: お年寄り
例文:「うちのとっしょり、今日はデイサービス行っとるんよ」
「とっしょり」は、阿波弁で「お年寄り」「年配の人」を意味する言葉です。
ちょっとレトロであたたかい響きがあり、敬意や親しみを込めて使われることが多いですよ。おばあちゃん、おじいちゃんのことをやさしく呼ぶ、家族的な雰囲気のある言葉ですね。
どないしよん?
訳: どうしてるの?/元気にしてた?
例文:「久しぶりやなぁ、どないしよん?」
この「どないしよん?」は、阿波弁らしいあたたかい気遣いのフレーズ。
「どない」は「どう」、「しよん」は「している」の進行形で、直訳すると「どうしてるの?」ですが、実際はもっと**感情のこもった“思いやり表現”**として使われます。
たとえば、久しぶりに会った友達や親戚に、笑顔で「どないしよん?」と声をかければ、それだけで一気に距離が縮まります。
「元気にしてた?」や「最近どんな感じなん?」に近い雰囲気ですね。
どないぞ
訳: なんとかして/どうにかして
例文:「どないぞ時間つくって行けんかいな〜」
「どないぞ」は、困っているときや、努力して何かを成し遂げたいときによく使います。
「なんとか」「どうにか」のニュアンスに、ちょっと焦りや願望がにじむような言い回しです。切実な気持ちがこもってる時も多いかもしれません。
とろこい
訳: 遅い、のろい
例文:「このパソコン、とろこうて立ち上がるんに時間かかるわぁ〜」
「とろこい」は、動作や反応が遅い様子を表す阿波弁です。
「のろのろしてるなあ」というちょっとしたイライラを込めて使うことも。
でもどこかユーモラスな響きで、会話に少しやさしい毒を混ぜたいときにもぴったりです。
とろとろ
訳: 遅い様子、のろのろしている
例文:「とろとろしとったら映画始まってまうで〜」
「とろとろ」は、標準語の「とろとろ」と近い意味ですが、阿波弁ではより行動に対する指摘として使われることが多いです。急ぎたいときや、ちゃっちゃと動いてほしいときに登場する定番の一言ですね。
どびる
訳: 腐る
例文:「この豆腐、冷蔵庫に忘れとったらどびとった〜!」
「どびる」は、食べ物が傷んで腐るという意味。
「どびた」はその過去形で、「腐ってしまった」のニュアンスになります。
台所で使うことが多いので、家族での会話にもぴったりですね。
な行
~なんじょ
訳: 〜なんですよ/〜なんだよ(語尾に付ける表現)
例文:「これが阿波弁なんじょ!」
「なんじょ」は、語尾に付けて状況をやわらかく伝えるときに使います。
ちょっとしたぼやきや、軽い報告、つぶやきにぴったりの表現で、阿波弁らしい親しみとリズム感があります。
なんしょん?(なにしょん?)
訳: 何してるの?
例文:「こんな時間に、なんしょん?」
徳島では、友達や家族、近所の人に声をかけるときに「なんしょん?」がよく使われます。
「何してるの?」の意味ですが、柔らかくフレンドリーな響きが特徴。関西の「なにしてんの?」に近いですが、徳島ではもっと日常的でやさしい印象がありますね。
なんな・なんなん
訳: 何なの?/どういうこと?
例文:「その顔、なんな?怒っとん?」
「なんな」は、「それ何なん?」と確認したいときの、やわらかめのツッコミです。
ちょっと驚いたり、不思議に思ったときに口をついて出てくる、阿波弁らしい自然な表現ですよ。
なんぼ
訳: どれくらい?/どんだけ?
例文:「なんぼ歩いたん?もうヘトヘトやわ〜」
「なんぼ」は、「どれくらいの量・距離・時間・回数・金額」などをざっくりたずねる時に使います。ちょっとオーバーに言うと、ツッコミっぽくもなる言葉。
「これなんぼしたん!?(これ何円したの!?)」、「なんぼ食べたん!?」みたいに驚きと親しみが混ざった表現としても使えます。
なんぼいうても
訳: いくらなんでも
例文:「なんぼいうても、そりゃムリやで〜」
「なんぼいうても」は、話の前置きや、反論・強調するときに使う定番フレーズ。
「いくらなんでも」のような意味合いで、控えめに主張したいときに重宝する表現です。
感情的にならず、ちょっとクッションを置いた伝え方ができるのも魅力ですね。
ぬくい
訳: 暖かい(あたたかい)
例文:「このカフェ、薪ストーブ焚いとってぬくいわ〜」
「ぬくい」は、「温かい」「暖かい」の阿波弁。気温や雰囲気、人のあたたかさにも使える、ほっこりする言葉です。徳島では、寒い日に日なたに出たときや、コタツに入ったときなんかに自然と口から出るんです。
「今日はぬくいなぁ〜」なんてつぶやくだけで、その場がちょっと和らぐような。言葉自体が“あったかい”空気をまとってる感じ、しませんか?
ねぶる
訳: 舐める(これは関西や他地域でも使われます)
例文:「あめちゃん、そんなねぶったらあかんで〜」
阿波弁というより古くからの西日本共通の言い回しですが、徳島の年配層でも使います。
のうなる
訳: 無くなる、紛失する
例文:
「鍵がのうなってしもて、どこ探しても見つからんのよ〜」
「のうなる」は「無くなる」「消える」という意味の阿波弁。
物が見つからなくなった時や、財布や小物を落とした時などに自然と出てくる表現です。
徳島の年配の方はよく「のうなったんかいな〜」としみじみ言うことも。
は行
はがいい
訳: くやしい、もどかしい、歯がゆい
例文:
「昨日の試合、あと一歩で勝てたんになぁ〜、ほんまはがいいわぁ。」
「はがいい」は、思いどおりにいかず歯がゆい気持ちや、くやしいときに使う阿波弁です。
ちょっとした失敗や残念な場面で、気持ちを吐き出すように「はがいい!」と言うのが徳島流。子どもにも大人にも使いやすく、感情に寄り添ってくれる言葉です。
はしかい
訳: かゆい
例文:「蚊にかまれて、足がはしかうてたまらんわ〜」
かゆい、ムズムズする感覚をピンポイントで伝える阿波弁。「かゆい」よりも情感がこもります。
はめ
訳: まむし(毒蛇)
例文:「あっこらへん、はめ出るけん気ぃつけよ」
山や川辺の自然豊かな徳島では、注意喚起としてよく使われる緊張感ある言葉です。
はんこ
訳: はんてん、ちゃんちゃんこ
例文:「寒なってきたけん、はんこ出したよ」
冬になると恋しくなるアイテム。徳島の家庭では「はんこ」はおなじみの言い方です。
ひこずる
訳: 引きずる
例文:「重たすぎて、引きずらなしゃーないわ〜」「そんなんひこずったら壊れるで」
物をズルズル引きずる様子や、心のしこりを引きずるときにも使われます。
ひんける
訳: 干からびる
例文:「干し大根、もうひんけとるなぁ」
天日干しの風景が目に浮かびます。「干からびる」「乾燥する」といったニュアンスです。
びんび
訳: 魚(主に幼児語として使われる)
例文:「びんびいらんでぇー!」って、昔は魚売りのおっちゃんが叫びよったなぁ…
「びんび」は、徳島の年配の人や子どもたちが親しんで使っていた魚の呼び方です。主に鮮魚を指していて、地元では魚屋さんや漁師さんが軽トラで売りに来る時の呼び声としても耳にした方が多いかもしれません。
「魚=びんび」って響きがかわいらしくて、幼児語として家庭でもよく使われていたんですよね。他の四国地域でも似たような使われ方をしているようですが、やっぱり徳島で聞くとなんだか懐かしくて、ほっとする言葉です。
~びゃー
訳: ~くらいに(程度)
例文:「それ、ひとびゃー入れといてよ」
「〜くらい」「〜ぐらい」の意味で使います。量や程度を表すときに自然に出てくる語尾です。
へらこい
訳: ずる賢い
例文:「あの子、口はうまいけど、ちょっとへらこいとこあるなぁ」
相手をちょっと茶化すような、でも本気すぎないニュアンスで使われることが多いです。
ほうけ
訳: バカ、アホ
例文:「あんなん信じるん、ほんまほうけやわ」
親しみのあるツッコミとしても使える一方、ちょっとキツめにも聞こえるので注意。
ほーえー・ほうなん
訳: そうなんだ
例文:「へー、ほーえー、そらすごいな!」
会話の相づちにぴったりの言葉。ちょっと驚いたり、感心したときに自然に出てきます。
ほなけんど・ほなって
訳: だけど
例文:
「ほなって今日の天気は晴れっていよったんじょ?」
「ほなけんど雨やけんやめたわ」
「でもね」「とはいえ」と言いたいときに登場する、ちょっと柔らかめの逆接語。

ちょっと言い訳したいときや、自分の主張に根拠を持たせたいときに出てくる「ほなって」。
「だって◯◯やもん」と言いたいときにぴったりで、言い方しだいではかわいげも出る表現です。
ほって
訳: 捨てて
例文:
「この空き缶、ほってくれとったらええけんね〜」
「ほる=捨てる」という意味で使われる阿波弁で、「ほって」はその命令形(〜して)になります。
関西でも一部地域で使われていますが、徳島でも日常的に「ゴミ、ほってきて〜」なんて言ったりします。
「捨てる」と言うよりも、ちょっと軽い感じがあって、家庭や近所付き合いの中でよく聞く言い方です。覚えておくと、地元の人との会話も自然に入りやすくなりますよ!
ほれみーだ
訳: それ見たことか(だから言ったじゃないか)
例文:
「宿題せんかったけん、先生に怒られたわ」
「ほれみーだ、ほなけんゆうたでぇ」
誰かが言うことを聞かんと、自分の言ったとおりの結果になったときに出てくるのがこの「ほれみーだ」。
ちょっと呆れ気味に、でもちょっとドヤ顔で言いたくなる言葉です。親子や友達とのやり取りでよく聞かれます。
「言わんこっちゃない」「やっぱりな」という、共感と皮肉が混ざった絶妙なニュアンス。徳島ならではのテンポ感で、会話がちょっと楽しくなる魔法のひと言です。
ま行
まがる
訳: じゃま、邪魔になる
例文:
「この道んせまいとこに車とめとるけん、まがるなぁ〜。通れんわぁ…」
「通行のじゃまになる」「人の動きを妨げる」という意味で使われます。
阿波弁では物理的な「邪魔」のほか、少し迷惑な存在に対してもやんわりと「まがるなぁ」と表現することがあります。
まけまけ
訳: あふれるほど、いっぱい
例文:
「ビール、まけまけについでくれたわ〜」
コップや容器にいっぱい注ぐことを「まけまけ」と表現します。
溢れる寸前まで注がれた飲み物や、おかずが山盛りのごはんなど、気前の良さが伝わる言葉ですね。
まける
訳: あふれる
例文:
「お茶、まけとるで〜、こぼれるわ!」
液体がこぼれそうになっている時に使う、阿波弁らしい表現。
「まける」と言われたら、あふれてる!とすぐに察してあげてくださいね。
めいぼ
訳: ものもらい(麦粒腫)
例文:
「目ぇかいなぁ思たら、めいぼできとったんよ〜」
目のまわりが腫れて痛む「ものもらい」のことを、阿波弁では「めいぼ」と言います。
徳島ではお年寄りや親世代が特によく使う表現で、「目にできたできもの」全般に対しても用いられることがあります。
子どもが「目が痛い」と言ってきたとき、「あぁ、めいぼかもしれんな〜」とサラッと使えたら、ちょっと地元っぽくて親近感も湧きますよ◎
めげる
訳: 壊れる、割れる
例文:
「テレビ、スイッチ入らんと思たら、めげとったんやて〜」
電化製品などが壊れたときに使われます。
機械だけでなく、心が折れた時に「心がめげそう…」と比喩的に使うことも。
めんどい
訳: 難しい、気むずかしい
例文:
「この問題、めんどいなぁ〜、何回解いてもわからん」
「面倒くさい」とは少し違って、ややこしさや複雑さを感じたときに使われます。
人に対して「めんどい人」と言うと、「気むずかしい」「付き合いにくい」というニュアンスにもなります。
もんて
訳: 帰って、戻って
例文:
「ちょっと実家に帰っとってん、今もんてきたとこ」
「もんてくる=戻ってくる」という意味。
「いぬ(帰る)」に対して、「もんて」は“帰ってきた”方向を指します。家族や親しい間柄でよく使われます。
や行
~やけん(~けん)
訳: 〜だから
例文:
「今日昼、給食やけん、作らんでえぇで」
理由や原因を表す定番の語尾。「〜だから」「〜なので」という意味で、会話の中では非常によく使われます。他県でも使われることはありますが、徳島ではイントネーションも含めて親しみのある表現です。
やー(〜やー)
訳: 〜をあげる、〜しなさい(親しい人に対しての指示)
例文:
「おみかん、食べるんやったらこれむいてやー」
親しみを込めた依頼や指示のときに使います。「〜しなさい」や「あげるよ」というニュアンスで、家庭内や近所の会話でよく登場します。
やいよる/しょる(やいよらん/しょらん)
訳: 営業している(していない)、開いている(開いていない)
例文:
「そごう、正月もやいよるんけ?」
「駅前の店は正月はしょらんじゃろなぁ〜」
阿波弁で「やいよる」は「店などが開いている・営業している」の意味で、
「しょる」は「〜している(状態)」の一般的な進行形として使われます。
否定形では「やいよらん(開いてない)」「しょらん(していない)」となり、日常会話や買い物の場面でよく使われる言い回しです。
やりこい
訳: やわらかい
例文:
「この大根、やりこいわ~。子どもでも食べよるなぁ。」
「やりこい」は「やわらかい」という意味の阿波弁で、特に食べ物の食感を表すときによく使われます。
「やわらかい」よりも感覚的で親しみやすい響きがあり、家庭の食卓や市場での会話でよく登場します。
関西や他の四国でも通じることがありますが、徳島ではより日常的に耳にする言い回しです。
ようけ
訳: たくさん、多く
例文:
「阿波踊りん時は人がようけ来るけんなぁ〜」
「たくさん」「いっぱい」という意味の便利な副詞。
「ようけ食べた」「ようけ人おった」など、数や量に関して使われます。
ら行
~られん・~れん
訳: 〜してはいけない、〜できない(禁止・不可能)
例文:
「こっちは危ないけん、はいられんけんな!」
禁止のニュアンスを含んだ言い回しで、標準語の「ダメ」「できない」に相当します。
子どもに注意するときや、ルールを伝えるときによく使います。
わ行
わかいし
訳: 若者、若い人
例文:
「あのわかいしらぁ、朝から釣りしょんでぇ〜。」
「わかいし」は、徳島で「若者」を指すときの定番表現です。
やや年上の人が、親しみや少し冷やかし気味に言うことが多いです。
わがでに
訳: 自分で、自分の力で
例文:
「そんぐらいわがでにやらんと、うであがらんでぇ。」
「わがでする」「わがで考える」などのように使い、「自力で」のニュアンスを持ちます。
小さい子に対して「自分でやりなさい」のような場面でよく使われます。
わるそ
訳: いたずらっ子、いたずらな子、やんちゃ
例文:
「こら!またそんなことしよって〜、わるそやなぁ〜。」
「やんちゃ」「おてんば」「いたずら好き」な子どもに対して使われます。
叱るときだけでなく、笑いながら愛情をこめて言うことも多いです。
わんく
訳: 私の家
例文:
「また今度わんく来いや〜。」
「うちんく(私の家)」と同じ意味ですが、「わんく」はより親しみを込めた言い方。
年配の方の使用率が高く、ちょっと懐かしい響きのある言葉です。
わや
訳: めちゃくちゃ、どうしようもない状態
例文:
「急に雨降ってきて、洗濯もん全部びしょぬれや。わややわ!」
関西方面でも使われる言葉ですが、徳島でも「ぐちゃぐちゃ」「散々な状態」を表すときに使われます。
一言で感情を込めて伝えたいときに便利な表現です。
阿波弁の番外編
そのほか、ローカルな言い回しをご紹介します。
徳島
訳:徳島市のこと
県全体ではなく「徳島市」のことを指すのが地元流。
例文:
「徳島行くで?」→「徳島市へ買い物や用事で出かける」の意。
「徳島で映画観て、帰りにアミコ寄ってきたわ〜」など。
県外
訳:徳島県外のこと
香川や大阪・兵庫あたりでも「県外行ってくる」が通じる。
例文:
「今週末は県外行っとったけんおらなんだ」
東大
訳:徳島ラーメンの有名店「ラーメン東大」のこと。
地元徳島で「東大行こか?」と言えば、それは東京大学のことではなく、ラーメン屋さんのこと。
徳島ラーメンの代表格である「ラーメン東大」は、濃厚な豚骨醤油スープに生卵トッピングが特徴。県民にはなじみ深い存在です。
例文:
「今晩、東大行くで?」(=晩ごはんにラーメン食べに行こか?)
カツ(フィッシュカツ)
訳: フィッシュカツ(徳島のソウルフード)
例文:「今夜はカツで一杯やろかいな~」
徳島で「カツ」といえば、トンカツじゃなくて「フィッシュカツ」のことを指します。
魚のすり身をカレー風味に味つけして、パン粉をつけて揚げたもので、スーパーや道の駅ではもちろん、子どもたちのおやつや晩ごはんの定番にもなっとる一品です。
徳島県民なら一度は食べたことがある、まさに「ソウルフード」。県外の人が「これ、魚なん!?」とびっくりすることもしょっちゅうです。
徳島の方言!阿波弁の特徴は?
徳島の方言、阿波弁にはどこか懐かしくて温かみのある響きがありますよね。初めて耳にした人はちょっと驚くかもしれませんが、慣れてくるとその柔らかさにホッとすることも多いんです。
たとえば「〜しよん?(〜してるの?)」や「いけるで?(大丈夫?)」など、会話のテンポもどこかリズミカル。地元の人との距離をぐっと縮めてくれる魅力があります。
子育て中のママたちの間でも、子どもに向かって自然と出てしまう阿波弁ってありますよね。「まけまけ〜(あふれるよ〜)」とか「しよい子やな〜」なんて声かけは、方言ならではのあたたかさ。
日々の暮らしやおでかけの中で、ちょっとした阿波弁にふれると、徳島らしさを改めて感じられるはず。やさしい言葉が飛び交う地域にいると、それだけで心がほぐれますよ。
徳島県外の人が分かりにくい阿波弁
阿波弁には、県外の人には意味がつかみにくい言い回しがけっこう多いんですよね。とくに移住してきたばかりの方や、観光で訪れた方は最初「えっどういう意味?」と戸惑うこともあるかもしれません。
たとえば先ほどもご紹介した、言葉でいうと下記は特に分かりにくいです。
いぬ:帰る
例:「もう遅いけん、そろそろいぬわ〜」
まけまけ:あふれるほどに(ぎりぎりまで)
例:「コップ、まけまけに注いでな〜」
さら:新品
例:「これ、さらの服やけん着ていかんでよ〜」
文字だけ見てもピンとこない言葉がたくさん。でも地元の人にとってはごく普通の会話。お店の人や子ども同士のやりとりでもよく耳にします。
最初は驚いても、意味を知ってくると「阿波弁ってやっぱりかわいいな」「徳島に馴染んできたな」と感じられるはず。
知らない言葉に出会ったときこそ、地域に溶け込むチャンス。やさしい阿波弁の世界、少しずつ楽しんでみてくださいね。
阿波弁を体験できるスポット一覧
阿波弁を体験したいなら、地元の人とふれあえるスポットに行くのがいちばんです。観光施設よりも、地域の人たちが普段から集まる場所のほうが、ナマの阿波弁に出会えるチャンスが多いんですよね。
たとえば、こんなスポットがおすすめです!
直売所・朝市・道の駅
…地元のおばちゃんやおじちゃんの会話に阿波弁が満載!
地域密着のカフェ・食堂・銭湯
…日常の中で自然と方言が飛び交います。子連れでも入りやすいお店も多いですよ。
公民館・児童館のイベント
…ママ同士の会話に阿波弁がちらほら。親しみやすくて雰囲気も◎。
阿波おどり会館/阿波十郎兵衛屋敷
…語りやナレーションに阿波弁が使われていることも。観光しながら言葉にも触れられます。
方言って、文字で読むより音で聞くほうがグッと心に残るんですよね。ふだん使われている阿波弁を耳にすれば、徳島での時間がもっと深く、温かく感じられるはずです。気になったスポットがあれば、ぜひ一度足を運んでみてくださいね。
まとめ
阿波弁は、徳島の人たちのあたたかさや人柄がにじみ出る、魅力たっぷりの方言です。最初は聞きなれない表現に驚くかもしれませんが、地元の人とのやりとりの中で、少しずつ親しみが湧いてくるはず。観光や移住で訪れた方も、ぜひ阿波弁に耳をすませてみてください。
「ことば」を知ることは、「人」を知ること。
徳島での暮らしや旅が、もっと豊かに感じられるきっかけになると思いますよ。